このページの要点
- 集まりを公式・共催・会員の自主開催に区分し、案内に区分と運営の関わりを表示する。会員が運営の関与を装うことを禁じる。
- 取消料は、取消しの時期ごとに、運営者に生じる平均的な損害の範囲に収める(消費者契約法9条1項1号)。運営者の都合による中止は返金か振替を選べる形にする。
- 「一切責任を負わない」の免責は、消費者との契約では無効になり得る(消費者契約法8条1項)。運営者の故意・過失の場合を除外して書く。
- 宿泊や移動の手配を運営者が行い対価を受け取る形は、旅行業法の対象になり得る(旅行業法2条1項・3条)ので、手配の範囲を企画の前に決める。
結論:集まりは「公式」「運営が関わる」「会員の自主開催」に分け、責任の線を開催の前に引く
会員制のコミュニティでは、オンラインの交流にとどまらず、会員限定の勉強会、オンライン会議での相談会、懇親会、いわゆるオフ会が開かれます。集まりは会員の満足を高めますが、規約の観点では、日常の投稿とは性質が違います。参加費が動き、人が実際に会い、事故や揉め事が起こり得て、運営者が主催なのか、場を紹介しただけなのか、会員が勝手に開いているのかが、外からは分かりにくいからです。
このページは、会員限定の集まりについて、参加の条件、参加費と取消し、事故の責任、撮影、会員が幹事を務める非公式の集まりの位置づけを整理します。教室や稽古事の発表会、イベントの主催者向けの一般的な免責は、別のガイドで扱う題材で、ここでは、コミュニティの会員だけが対象の交流の集まりに絞ります。会員資格に対する措置は警告・利用停止・除名で、会員の営業や取引は会員どうしの営業・紹介・取引で整理しているので、ここでは集まりそのものに話を限ります。
結論を先に並べます。
- 集まりは三つに区分し、区分ごとに運営の責任の範囲を決めて、参加者に見える形で示す。公式に運営者が主催するもの、運営者が共催・後援・場の紹介などで関わるもの、会員が自主的に開くもの。区分が曖昧だと、事故のときに「運営の集まりだと思っていた」と言われる。
- 参加の条件は、集まりの内容に合わせて個別に決める。オンラインの会議と、飲食を伴うオフ会では、必要な条件がまったく違う。年齢、飲酒、持込み、同行者、遅刻、撮影を、案内の段階で明示する。
- 参加費の取消し・返金は、取消料の設計と、運営側の事情で中止になった場合の扱いを分けて書く。取消料は、同種の契約の解除に伴い運営者に生じる平均的な損害の額を超える部分が無効になる(消費者契約法9条1項1号)。
- 事故・けが・盗難の免責は、運営者自身の責任を残して書く。「一切責任を負わない」は、消費者との契約では無効とされる場合がある(消費者契約法8条1項)。
- 会員が幹事をする非公式の集まりは、運営が関与しないことを、案内の文言と運用の両方で示す。公式の名称やロゴを使わせない、運営の連絡先を載せない、運営のアカウントで告知しない、といった線を決める。
- 宿泊や移動の手配を運営が行うなら、旅行業法の対象になるかを事前に確かめる。参加費に含めて対価を受け取る形は、確認が要る。
集まりの規約を作る前に、手元に置くもの
- これまでに開いた、または会員が開いた集まりの種類(オンライン会議、少人数の勉強会、懇親会、屋外の集まりなど)と、参加人数の見込み
- 参加費の有無と、徴収の方法(運営が受け取るのか、会場や幹事が受け取るのか)
- 会場の使用契約の有無と、会場側の規則(酒類の持込み、撮影、清掃、損害の負担)
- 運営者が加入している保険の種類(運営者が主催する集まりが対象になっているか)
- 現行の規約・ガイドラインの、イベント・集まりに関する条文と、会員に送っている案内文
集まりの三つの区分:誰の集まりかを、参加者に見えるようにする
集まりの責任を決めるうえで最初に行うのは、誰が主催者なのかをはっきりさせることです。主催者が運営者なら、参加者との間に契約(参加契約)が生まれ、運営者は参加者に対して債務を負います。会員が自主的に開く集まりなら、運営者と参加者との間に参加契約はなく、集まりの責任は幹事と参加者の関係で決まります。その中間に、運営者が共催者として名を連ねる、場所だけを紹介する、後援する、という形があります。
集まりの三つの区分
公式主催
運営者が企画し、参加者を募り、参加費を受け取る
- 運営者と参加者の間に参加契約が生まれる
- 案内・受付・取消し・中止・安全配慮の責任は運営者が負う
- 参加規約を別に用意するのが基本
共催・後援・場の紹介
会員や外部の団体と運営者が関わる
- 関わりの内容(名義の貸与、場の提供、広報)を案内に明記する
- 参加費の受け取りと責任の所在を、あらかじめ決める
- 運営が関わる範囲しか責任を負わない旨を示す
会員の自主開催
会員が自分で企画し、運営者は関与しない
- 運営の名称・ロゴ・連絡先を使わせない
- 運営は主催でも共催でもないことを案内に書く
- 参加費や事故の責任は幹事と参加者の間のものとする
区分は、規約に書くだけでなく、集まりごとの案内にも表示します。案内のどこを見ても区分が分かる状態にします。
区分が曖昧になる原因の多くは、運営者のアカウントや投稿の使い方にあります。会員の自主開催の案内を、運営者の公式のアカウントが「みんなで集まりましょう」と告知すると、参加者は運営の集まりだと受け止めます。逆に、公式の集まりを会員の名義で案内すると、事故があったときに運営者が当事者ではないかのような説明をすることになり、信頼を損ねます。
条文例集まりの区分に関する定めの例
- 本コミュニティに関連して開催される集まりは、運営者が主催するもの(以下「公式の集まり」という。)、運営者が共催または後援するもの(以下「共催の集まり」という。)、および会員が自らの責任で開催するもの(以下「会員の集まり」という。)に区分される。
- 運営者は、公式の集まりおよび共催の集まりについて、開催の案内に、その区分と、運営者の関わりの内容を表示する。
- 会員の集まりは、運営者が主催または共催するものではない。会員は、会員の集まりの案内において、運営者の名称、標章その他運営者の関与を示す表示を用いてはならない。
書き方の例(一般的な例)です。第3項で、会員が運営の関与を装うことを禁じています。
参加の条件:オンライン開催とオフ会で決めること
オンライン開催:録画・撮影・チャット・映り込み
オンライン会議で行う勉強会や相談会は、場所を借りる必要がなく、参加者の負担も小さいため、会員制のコミュニティで最も多い集まりです。事故のおそれは小さい反面、録画と撮影、チャットの書き込み、画面の共有、参加者の映り込みなど、情報の扱いが主要な論点になります。
オンラインの集まりで決めておく事項
| 事項 | 決めること | 案内に書くこと |
|---|---|---|
| 録画・録音 | 運営者が録画するのか、会員の録画は認めるのか | 録画の有無、録画の目的、録画データの保管期間と閲覧できる範囲 |
| 参加者の映り込み | カメラやマイクの扱い、背景の設定、画面の共有 | カメラの利用が任意か必須か、自宅が映ることへの注意 |
| チャット・質問の記録 | チャットを保存するか、公開するか | チャットの内容が記録・共有され得ること |
| 参加者の本人確認 | 会員本人以外の参加(家族の同席、第三者への転送)を認めるか | アクセスの招待リンクの共有を禁じる旨 |
| 接続の不具合 | 通信障害・会議サービスの停止で実施できなかった場合の扱い | 再開催・録画の提供・返金の方針 |
録画を運営者が行う場合、参加者の顔や声が録画に残ります。録画の目的(欠席者への提供、運営の記録など)、保管の期間、閲覧できる範囲を、参加の申込みの時点で示しておきます。録画が参加者の個人情報に当たるときは、利用目的の特定と通知・公表(個人情報保護法17条・21条)が関わります。ここは会員情報とプライバシーに委ねる部分です。参加者が会議を録画して外部に出すことの禁止はコミュニティ内の発言・資料の持ち出し禁止で扱います。ここでの要点は、集まりの案内の中に、録画と共有についての約束を置くことです。
通信の不具合は、運営の責任の外にある原因(会議サービスの障害、参加者側の回線)と、運営の責任の内にある原因(主催者側の設定ミス、日程の連絡漏れ)に分かれます。内にある原因で実施できなかったときは、再開催か返金かを選べるようにしておくのが一般的な設計です。外にある原因だけを理由に「返金しない」と一律に書くと、参加者の側から見て、運営者の落ち度による中止まで含まれているように読めます。
オフ会:年齢・飲酒・持込み・同行者・遅刻
実際に人が会う集まりでは、オンラインより多くの条件が必要です。条件は、集まりの内容(食事、飲酒、屋外、会場の借用)で変わります。規約には一般的な定めを置き、個別の集まりの案内に、集まりごとの条件を書く二段構えが現実的です。
オフ会の参加条件の例と、書くときの注意
| 条件 | 書き方の例 | 注意 |
|---|---|---|
| 年齢 | 未成年者の参加は、親権者の同意があるときに限り認める | 成年年齢(民法4条)に達しない人の契約には法定代理人の同意が要る(民法5条)。親権者の同意の取り方も決める。 |
| 飲酒 | 飲酒を伴う集まりでは、法律で飲酒が禁じられている年齢の人に酒類を提供しない | 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律1条は、二十歳未満の者の飲酒を禁じ、業として酒類を販売・供与する営業者に、二十歳未満の者の飲用と知って供与することの禁止と年齢確認などの措置を求めている。確認の方法を決める。 |
| 持込み | 食べ物・飲み物の持込みは会場の規則に従う | 会場の使用契約に持込みの制限があることが多い。案内に会場の規則を添える。 |
| 同行者 | 同行者の参加は、事前に申し出た場合に限る | 同行者は会員でないため、規約が及ばない。参加の条件を同行者にも伝える旨を、会員の義務にする。 |
| 遅刻・欠席 | 連絡なしの欠席・遅刻は、取消料の対象とする | 取消料の額は、運営者に生じる平均的な損害の範囲に収める(次の節)。 |
| 体調・安全 | 体調がすぐれない場合の参加を控えることと、緊急時の連絡先 | 持病やアレルギーの情報を集める場合は、取り扱いが別に問題になる(会員情報のページ)。 |
未成年者の参加を認めるかどうかは、コミュニティの趣旨によります。会員資格そのものを成年に限っている場合は、集まりの年齢条件を別に定める必要はありません。成年年齢は18歳(民法4条)で、未成年者が契約をするには法定代理人の同意が必要です(民法5条)。成年に限らないコミュニティでは、集まりの参加契約についても、親権者の同意の取り方を決めておきます。入会の段階の年齢の扱いは入会申込と承認制に書いたとおりです。
飲酒を伴う集まりでは、運営者が酒類を提供するのか、参加者が各自で注文するのかで状況が変わります。会場が飲食店で、参加者が各自で注文する形なら、飲酒の年齢確認は会場の営業者の責任が中心になります。一方、運営者が酒類を用意して参加者に配る形なら、運営者自身が二十歳未満の者の飲酒に関わる立場になり得ます(営業者として酒類を供与する者に当たるかは、集まりの形によります)。「飲酒は自己責任で」と書くだけでは、この違いを覆えません。誰が提供するのかを案内に書き、運営者が提供する場合の年齢の確認方法を決めておきます。
参加費・取消し・返金:取消料の設計と、運営側の事情による中止
集まりに参加費を設けるなら、取消しと返金の定めが必要です。ここで混同されやすいのが、参加者の都合による取消しの扱いと、運営者の都合による中止の扱いです。この二つは、前者が「取消料」の問題、後者が「運営者の債務不履行」の問題で、書く位置も効力の考え方も違います。
参加費の取消しと返金の考え方の順序
- 1 誰の事情による取消しか参加者の都合なのか、運営者の都合(定員割れ、天候、会場の事情、運営側の都合)なのか、不可抗力(会場の閉鎖、公共交通の停止)なのかを分ける。
- 2 参加者の都合の場合取消しの期限と、期限ごとの取消料の割合を定める。参加費の全額を不返還とするかどうかは、運営者に実際に生じる損害を基準に考える。
- 3 運営者の都合の場合中止、日時の変更、内容の変更のときに、返金、振替、再開催のどれを選べるかを定める。
- 4 不可抗力の場合運営者が負担した費用(会場のキャンセル料など)の扱いを決め、返金の範囲を定める。
- 5 返金の方法と期日返金の方法(元の決済手段への返金など)と、返金する時期を示す。
参加者の都合による取消料の設計では、消費者契約法9条1項1号が基準になります。同条は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定める条項について、これらを合算した額が、条項に定める解除の事由や時期などの区分に応じ、同種の消費者契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるときは、その超える部分を無効としています。会場の予約費用、食事の人数分の発注、講師の拘束など、実際に生じる損害の見込みを、取消しの時期ごとに考えて取消料を決めると、この基準に沿った設計になります。「いかなる場合も返金しない」と書くのは、取消しの時期にかかわらず運営者に損害が生じないケースを含むため、この基準との関係で見直しの対象になります。
書き方の例(一般的な例) 参加費の取消しの条項
参加者の都合による取消し
理由取消料を時期ごとの区分にすると、実際に運営者に生じる損害に対応しやすくなる。一律の「返金しない」より、定めの効力が争われにくい。
運営者の都合による中止
理由運営者の都合の中止まで「責任を負わない」とすると、債務を果たさないのに対価だけ取る形になる。返金か振替かを選べる形にしておく。
参加費を、運営者がオンラインの申込み画面で受け付けるなら、通信販売の表示の対象にもなります。役務の対価と支払の時期・方法、役務の提供時期、申込みの撤回または解除に関する事項(特定商取引法11条)を、申込みの画面や広告に表示します。申込みの最終画面では、役務の分量、対価、支払の時期・方法といった事項を、誤認させない形で表示します(同法12条の6)。通信販売にはクーリング・オフの制度はないので、取消しと返金は、事業者が自ら定めた条件が基準になります。取消しの条件を書かない、または分かりにくく書くと、後の争いの種になります。
事故・けが・盗難:免責の書き方と、免れない責任
オフ会では、会場で転ぶ、飲食で体調を崩す、持ち物が紛失する、帰宅途中で事故に遭う、参加者どうしで揉める、といった事故が起こり得ます。規約は、運営者の責任の範囲と、参加者自身が負うべき責任を整理します。
責任の根拠は、主に三つです。公式の集まりでは、運営者は参加契約にもとづく債務(会場の安全への配慮、案内どおりの実施)を負い、その不履行があれば民法415条の債務不履行による損害賠償の問題になります。運営者または運営の担当者が、集まりの準備や運営で過失を犯し、参加者に損害を与えたときは、民法709条の不法行為が問題になります。運営者が担当者を使っている場合は、使用者責任(民法715条)も検討の対象になります。会場の設備の欠陥で参加者が怪我をしたときは、土地の工作物の占有者または所有者の責任(民法717条)の問題として、会場側の責任が中心になることもあります。
免責の定めは、これらの責任を事前に調整する役割を持ちますが、消費者との契約では限界があります。消費者契約法8条1項は、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項(1号)や、事業者にその責任の有無を決定する権限を与える条項、債務の履行に際しての事業者の不法行為による損害賠償責任の全部を免除する条項(3号)を無効としています。事業者、その代表者または使用する者に故意または重大な過失がある場合の責任の一部の免除や、責任の限度を決める権限の付与も同様に無効です(2号・4号)。「運営者は、集まりで生じた一切の損害について責任を負わない」という定めは、この点で効力が否定され得ます。
書き方の例(一般的な例) 事故・損害についての免責の書き方
免責の範囲
理由参加者自身が負うべき管理の責任を示し、運営者に過失があるときの責任は認める形にすると、免責の定めが全体として無効と判断されるおそれが小さくなる。
持ち物と貴重品
理由運営者が預かる場合と預からない場合を分け、預かる場合は管理の責任が生じることを前提に書く。
保険の確認も、規約と同じくらい重要です。運営者が主催する集まりが加入している保険の対象になっているか、会場の側の保険が参加者の怪我に対応するか、参加者個人の傷害保険の加入を案内に促すか。規約の免責で補えない部分は、保険で補う設計にします。保険の内容は個別の契約によって異なるため、案内に書くのは「保険の対象になっているかどうかを、開催の前に確かめる」という運用の一行です。
会員が幹事を務める非公式の集まりと、会員どうしのトラブル
会員が自主的に開く勉強会や懇親会は、コミュニティの活性化に役立ちます。一方で、運営者が関与していないのに、運営者の集まりのように受け取られ、事故や揉め事のときに運営者が責任を問われることがあります。非公式の集まりを認めるなら、運営者が関与しないことを、規約と案内の両方で示す必要があります。
確認の問いと理由会員の自主開催を認めるときの確認の問い
会員が運営の名称やロゴ、運営の公式アカウントを使って集まりを案内してよいか。
使えるなら、運営の関与があるように見える。禁止するなら、禁止の定めと、使用された場合の削除の手順を置く。
会員の自主開催の案内を、コミュニティ内の投稿として許すか。
投稿を許すなら、案内に「会員の集まりであり、運営者は主催でも共催でもない」旨を書くことを条件にする。
会員の集まりで金銭のやり取りがあるとき、運営はどこまで関与しないのか。
幹事が参加費を集める場合、その責任は幹事と参加者のものとし、運営が代金を預からない旨を明確にする。
会員の集まりで、他の会員が危険な目に遭った場合、運営は何をするのか。
被害を受けた会員が通報できる窓口と、運営が会員資格の面で対応する範囲を決める。
幹事となった会員に、運営として注意を求める事項はあるか。
安全への配慮、参加者の個人情報の取扱い、参加費の明細の保存など、基本的な注意をガイドラインに置いておく。
会員どうしの集まりでは、集まりに起因するトラブルが、運営の外で起きがちです。会員どうしの交際や金銭の貸し借り、物品の販売、特定の事業やコミュニティへの勧誘、嫌がらせやつきまとい。運営者がこれらすべてに介入する責任を負うことは現実的ではありませんが、運営のコミュニティで知り合ったことが発端なら、運営に相談が寄せられます。受け止め方の基本は、被害の申出を受け付ける窓口を置くこと、事実を聞き取り記録すること、コミュニティ内で運営者が取れる措置(注意、利用の制限、除名)を取ること、そして、刑事や民事の手続に属することは、運営の判断で結論を出さないことです。運営者の通報対応は禁止事項・投稿削除・通報の運用で整理しています。
刑事上の問題が疑われる行為(脅迫、つきまとい、名誉や信用の毀損など)については、運営者が事実の有無を断定する立場にはありません。被害を受けた会員に、被害を相談できる公的な窓口の存在を案内し、運営者はコミュニティ内の安全を保つ措置を取る、という役割分担が、規約と運用の基本になります。
条文例会員の集まりと会員間トラブルに関する定めの例
- 会員の集まりに参加する者は、当該集まりの参加が自己の判断と責任によるものであることを確認する。
- 運営者は、会員の集まりにおいて生じた会員間の紛争、事故その他の問題について、当該集まりの当事者となるものではない。ただし、運営者は、会員の集まりに関し、他の会員の安全を害するおそれがあると認める事情があるときは、当該会員に対し、注意、投稿の制限、会員資格の停止その他の必要な措置を講ずることができる。
- 会員は、会員の集まりに関して、他の会員から、安全を害するおそれのある行為を受けたときは、運営者に対し、その旨を申し出ることができる。運営者は、申出の内容を確認し、必要な範囲で対応する。
書き方の例(一般的な例)です。運営者の関与しない原則と、安全のための例外的な措置を、同じ条に置いています。
宿泊や移動を伴う集まりと、旅行業法の入口
合宿、日帰りの遠足、現地集合の遠方の集まり。こうした集まりでは、会場の手配に加えて、宿泊や移動の手配が絡むことがあります。運営者が参加者に代わって宿泊や運送を手配し、その対価を受け取る形は、旅行業法の対象になり得ます。
旅行業法2条1項は、旅行業を、報酬を得て、一定の行為を行う事業と定義しています。その行為の中には、旅行の目的地、日程、運送や宿泊のサービスの内容、旅行者が支払う対価を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ作成し、運送等サービスの提供に係る契約を自己の計算で運送等サービスを提供する者と結ぶ行為(1号)や、旅行者のために運送等サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介し、または取次ぎをする行為(3号)などが含まれます。そして同法3条は、旅行業または旅行業者代理業を営もうとする者に、観光庁長官の行う登録を求めています。
ここで押さえるのは、条文の入口だけです。会員が自分で宿泊と移動を手配し、運営者は集合の時間と場所を案内するだけなら、運営者が旅行の手配を事業として行っているとは言いにくい形です。反対に、運営者が宿泊先と移動手段を選んで一括で手配し、参加費に含めて受け取る形は、定義の要素に近づきます。どこまでが旅行業に当たるかは、運営者の関与の中身で決まるので、手配を伴う集まりを企画するときは、手配の範囲を決める段階で、定義と照らして確かめます。具体的な当てはめは、このページでは行いません。
宿泊・移動を伴う集まりの設計で確かめること
- 宿泊や運送の手配を、運営者が行うのか、参加者が各自で行うのか
- 参加費に、宿泊費や交通費が含まれているのか、含まれていないのか
- 運営者が、旅行の計画(目的地、日程、運送・宿泊の内容、対価)を作って参加者を募っているか
- 宿泊先や運送事業者との契約の名義は、運営者なのか、参加者なのか
- 案内に「運営者は手配を行わない」と書いた場合、実際の運用でも手配をしていないか
集まりの参加規約に置く条項の全体像
ここまでを、公式の集まりの参加規約として、どの条項に落とし込むかをまとめます。コミュニティ全体の規約の中に置く場合も、集まりごとの案内に書く場合も、論点は同じです。規約の構成は、会員制コミュニティの全体像として規約と書類の分け方で述べた「規約・ガイドライン・個別の同意事項」の優先関係の中に位置づけます。集まりの個別の条件は、案内に書く個別の同意事項にあたるため、規約と案内が食い違う場合のどちらを優先するのかも、規約に書いておく必要があります。
参加規約の条項と、書く内容
| 条項 | 書く内容 | 見直しの観点 |
|---|---|---|
| 集まりの区分 | 公式・共催・会員の集まりの区分と、運営者の関わり | 会員の自主開催で運営の名称を使わせない定めがあるか |
| 参加の申込み | 申込みの方法、定員、先着か選考か、承諾の時点 | 申込みの最終画面の表示(特定商取引法12条の6)に対応しているか |
| 参加の条件 | 年齢、飲酒、持込み、同行者、体調、服装 | 未成年者の参加と親権者の同意が決まっているか |
| 参加費・取消し・返金 | 参加費、取消料、運営都合の中止の扱い、返金の方法と期日 | 取消料が平均的な損害の範囲に収まっているか(消費者契約法9条1項1号) |
| 撮影・録画・録音 | 運営者の撮影の有無と使い道、参加者の撮影の可否 | 撮影した写真・映像の利用目的と公開範囲が示されているか |
| 安全・事故・免責 | 参加者の自己管理の責任、運営者の責任の範囲、保険 | 運営者の故意・過失の場合の責任を残しているか(消費者契約法8条1項) |
| 禁止事項・退席 | 迷惑行為、勧誘、酒類の強要など、退席を求める基準 | 退席のときの参加費の扱いが決まっているか |
| 規約と案内の優先関係 | 集まりごとの案内と規約が食い違った場合の優先 | 案内が規約の例外を定める場合の表示の仕方が決まっているか |
起きがちなことと、見直しのチェックリスト
起きがちなこと
- 会員の自主開催の懇親会で事故が起き、案内に運営の名称が使われていたため、参加者が運営の責任を主張する。
- 運営者の都合で集まりが中止になったのに、規約に「理由のいかんを問わず返金しない」と書いてあり、返金の可否で揉める。
- 飲酒を伴う集まりで、運営者が用意した酒類を、年齢の確認をしないまま提供してしまう。
- 録画の目的や保管の期間を案内に書かず、後から参加者に「顔と声が残っているのは聞いていない」と言われる。
- 免責条項に「一切の責任を負わない」と書いたため、運営者の過失がある事故まで免責されると主張して反発を招く。
- 運営者が宿泊先と移動手段を選んで手配し、参加費に含めて受け取る形になっているのに、旅行の手配の範囲を意識しないまま続けている。
- 会員どうしの集まりで知り合った会員から、嫌がらせの相談が運営に寄せられるが、窓口も記録の方法も決まっておらず、対応が遅れる。
集まりの規約の見直し
- 集まりを公式・共催・会員の自主開催に区分し、案内に区分と運営者の関わりを表示しているか
- オンラインの集まりで、録画・撮影・チャットの扱いと、通信の不具合の場合の扱いを案内に書いているか
- オフ会の年齢、飲酒、持込み、同行者、体調の条件を、集まりの内容に合わせて決めているか
- 取消料が、取消しの時期ごとに、運営者に生じる損害の範囲に収まっているか
- 運営者の都合による中止のとき、返金か振替かを選べる形になっているか
- 免責条項が、運営者の故意・過失の場合を除外する形になっているか
- 会員の自主開催について、運営の名称やロゴを使わせない定めがあるか
- 宿泊や移動の手配を運営者が行うか否かを決め、運用と案内が一致しているか
よくあるご質問
会員が勝手に開いた懇親会で事故が起きたら、運営者の責任になりますか。
会員の自主開催で、運営者が主催でも共催でもなく、運営の名称も使われていないなら、運営者は集まりの当事者ではないのが原則です。ただし、運営者の公式のアカウントで案内した、運営の名称やロゴが使われていた、運営者が参加費を預かっていたなど、運営者の関わりを示す事情があると、運営者の責任が問題になる可能性が高まります。規約で運営が関与しない旨を定め、案内の表示と運用を一致させておくことが、責任の範囲を保つ基本です。
参加費の取消料は、いくらまで定めてよいですか。
一律の上限はありません。基準は、同種の契約の解除に伴い運営者に生ずべき平均的な損害の額です(消費者契約法9条1項1号)。取消しの時期ごとに、会場の予約費用、人数分の食事の発注、講師の拘束など、実際に生じる費用の見込みを考え、その範囲に収めて区分を作ります。超える部分は無効とされます。
「一切の責任を負わない」という免責条項は、効力がありますか。
消費者との契約では、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項などは無効とされます(消費者契約法8条1項)。運営者に故意または重大な過失がある場合の責任の一部を免除する条項も無効です。免責の定めは、参加者が自分で管理すべき事項を示し、運営者に過失があるときの責任は認める形にしておくのが、実務でよく見られる書き方です。
宿泊を伴う合宿を会員向けに企画します。何を確認すべきですか。
運営者が宿泊や運送を手配して対価を受け取る形は、旅行業法の対象になり得ます(旅行業法2条1項、3条)。まず、手配を運営者が行うのか、参加者が各自で行うのかを決めます。運営者が計画を作り、参加費に宿泊費と交通費を含めて受け取るなら、旅行業の定義に近づくため、企画の前に条文と所管の観光庁の資料で確認が必要です。
オンラインの勉強会を録画して、欠席した会員に配布してもよいですか。
録画する旨、目的、保管の期間、閲覧できる会員の範囲を、参加の申込みの時点で示しておくことが前提です。録画に参加者の顔や声が残る場合は、個人情報の利用目的の特定と通知・公表の問題が生じます(個人情報保護法17条・21条)。参加者の側が映り込みを避けられるよう、カメラやマイクを任意にする、質問をチャットで受けるなどの選択肢も案内に書きます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別のコミュニティへの当てはめは、サービスの仕組みや会員との合意の経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会